山形県の鳥獣被害。1位の動物は意外にも、カワイイあの子!
月山を越えて山形市の方に行くと、まるで山の麓を縁取るように、段々に建てられた住宅がたくさん見える。これは私の住んでいる鶴岡ではあんまり見られない景色で、山形盆地に来たなと実感させてくれる。
山形食べる通信6月号で特集する、すもも農家の鈴木君は、あの段々に連なる住宅のいちばん上に住んでいる。お隣はもう鬱蒼とした木々の生える斜面で、山が近い。
これだけ山が近いから、すももの園地も山の中にあって、野生の動物たちとの距離も近い。すももの若い苗木の新芽をニホンカモシカに食べられてしまったり(苗木が枯れてしまう)、樹の根っこをイノシシに掘られてしまったりと、被害も多いのだそうだ。
そんな話を聞いたので、6月号では、農作物の鳥獣被害とその対策についての情報ページを設けることにした。今日は取材で山形県庁まで行ってきた。
山形県における農作物の鳥獣被害の総額は、5億9400万円に上る。被害「額」で言うと東北地方ではダントツに高い。これは、さくらんぼの被害が多いことが原因だそう。(被害額の45%がさくらんぼ!)さくらんぼを食べてしまう犯人の第1位はちょっと意外な動物だった。
それは…なんとスズメ!
これまで民話や童謡で「可愛い存在」だと思っていたのに、これからはちょっと見る目が変わりそうだ。対策としては、鳥避けのネットを張るのが主流だという。
また、近年、被害が急増しているのがイノシシ。元々は西日本に生息する生き物で、山形県では見ることがなかったのだが、平成19年に初めて存在が確認されて以来、その数をどんどん増やし、現在は県内に700頭ほどいるという。長崎県には3万頭以上いるそうで、それに比べればささやかなものだが、とにかく繁殖力がすごいので、いま「増やさない」ことが重要なのだと教えてくれた。(そのための対策については、誌面で。)
最後に。野生動物のえさになっているのは、規格外や、出荷が追いつかないなどの理由で農家が畑に廃棄した野菜や果物なのだそう。廃棄野菜を発酵させて堆肥にする農家さんもいるので一概にNGとは言い切れないが、動物たちを自ら招くような行為になるので、なるべく止めた方がいい、とのことだった。